首のシワは、一晩でできるものではありません。何年もかけて続いてきた「姿勢のクセ」や「寝方のクセ」、そして紫外線や乾燥などのダメージが、少しずつ積み重なった結果として刻まれていきます。
加齢そのものを止めることはできませんが、 「これ以上、余計なダメージを重ねない」 という意味での予防は、今日からでも始められます。
ここでは、首の横ジワやたるみをできるだけ増やさないための 「7つの具体的な習慣」 をご紹介します。どれも特別な道具はほとんどいらず、生活の中で取り入れやすいものばかりです。
✅バスタオルを枕代わりにする
まず見直したいのが、 「寝ているあいだの首の角度」 です。
首の横ジワは、 皮膚が同じ場所で長時間折れ曲がることで定着しやすくなる と言われています。枕が高すぎると、あごが自然と胸側に近づき、首の前側が強く縮んだ状態のまま長時間過ごすことになります。これが、首の横ジワを深くしてしまう一因です。
そこでおすすめなのが、次のようなシンプルな工夫です。
・市販の枕の高さを一段階低くする
・バスタオルをくるくる巻いて「タオル枕」にしてみる
タオル枕の場合は、
「首の後ろに当たる部分だけ少し高くして、後頭部は低め」
になるように調整すると、首の前側が伸びた状態になりやすくなります。
いきなり大きく変えると眠りにくくなるので、まずは 週末だけタオル枕を試す・少しずつ高さを下げる など、自分の体に相談しながら進めるイメージが安心です。
✅スマホは「目の高さ」に上げて見る
最近増えている 「若いのに首に横ジワがはっきり出ている」 ケースで、とても大きな要因とされているのが、いわゆる 「スマホ首」「テックネック」 です。
スマホを胸のあたり、あるいはひざの上で操作すると、どうしても顔が下向きになり、首の前側に深いシワが寄ったままの姿勢になります。そのまま何十分、何時間も同じ姿勢でいると、その折れジワのラインがそのまま「首の横ジワ」として定着しやすくなります。
スマホを見るときの基本は、次の2つです。
・画面を「目の高さ」まで持ち上げる
・うつむく角度をできるだけ浅くする
腕が疲れやすい場合は、机の上にひじを置いてスマホを支える、スマホスタンドを使うなどの工夫を足すと負担が少なくなります。
「うつむき時間をゼロにする」ことは現実的ではありません。
それでも、 「長時間うつむいたままにならないよう、こまめに顔を正面に戻す」 だけでも、首の横ジワへの負担はかなり変わってきます。
✅パソコン作業中の「画面の高さ」と「座り姿勢」を整える
スマホだけでなく、 パソコン作業も首のシワに影響 します。
・ノートPCを机に直置きしている
・画面をのぞき込むように前かがみになっている
こうした姿勢が続くと、やはり首の前側は縮んだままの状態が長く続きます。
首のシワを増やさないためのデスクワークのポイントは、次の通りです。
・画面の上端が、目の高さと同じか、わずかに下になるよう調整する
・背もたれに軽くもたれ、あごを前に突き出さない
・30〜60分ごとに画面から目を離し、首を上下左右にゆっくり動かす
ノートPCの場合は、スタンドで高さを上げ、外付けキーボードを使うだけでも、首にかかる負担はかなり違ってきます。 「首が前に出ている姿勢」 を放置すると、首のラインだけでなく、肩こり・頭痛などにもつながるため、シワ予防と体のための両方の意味で早めの見直しが得になります。
✅首まできちんと日焼け止めを塗る
顔のUVケアはしっかりしているのに、 首だけ無防備なまま というケースは少なくありません。
首は、顔と同じように紫外線ダメージを受けやすく、しかも皮膚がやや薄めです。紫外線は、コラーゲンやエラスチンなど肌のハリを支える成分を少しずつ壊していくため、長い目で見ると 「たるみ」や「シワ」の進行を早める要因 になります。
予防の基本は、とてもシンプルです。
・朝のスキンケアの延長で、顔だけでなく首まで日焼け止めを塗る
・首の前側だけでなく、側面やうなじも意識する
・露出の多い服装の日は、塗り直しもしやすいテクスチャーを選ぶ
「顔用の日焼け止めをそのまま首にも伸ばす」 だけでも、首の将来は大きく変わります。特別なアイテムを増やす前に、まずはこの一手を習慣にしておく価値があります。
✅首専用のクリームを「縦の方向」に塗る
乾燥した肌は、折れ曲がったときにシワの跡が残りやすくなります。首も同じで、うるおいが不足した状態が続くと、ちょっとした折れジワがそのまま細かいシワとして定着しやすくなります。
顔と同じ保湿ケアを首にも行うだけでも違いは出ますが、 塗り方にも少しコツ があります。
① クリームを手のひらに伸ばす
② 下から上へ、首の前面を「縦方向」に撫で上げるようになじませる
③ 最後に、鎖骨のあたりまで一緒に保湿しておく
このとき、強くこする必要はありません。 「首の皮膚を下に引っ張らない」「横にギュッと折らない」 というイメージで、やさしくなじませることが大切です。化粧品だけで深いシワそのものを消すことは現実的ではありませんが、 乾燥ジワや、これから刻まれそうな浅いシワの進行をゆるやかにする という意味で、毎日の保湿ケアは有効な土台になります。
✅こまめな首ストレッチで、同じ姿勢をリセットする
「同じ姿勢が続くこと」 そのものも、首のシワに影響します。
・パソコン作業を何時間も続ける
・スマホを長時間見続ける
・車の運転時間が長い
こうした生活では、首まわりの筋肉がずっと緊張し続け、血行が悪くなります。その結果として、肌に届く栄養や酸素も不足しがちになり、ハリ感の低下や、たるみの進行を早める一因になります。
難しい運動である必要はなく、たとえば次のようなシンプルなストレッチで十分です。
・顔をゆっくり上に向けて、のどを伸ばした状態で数秒キープ
・顔を正面に戻し、肩を大きく後ろ回しにする
・耳を肩に近づけるように、左右にゆっくり倒す
こうした ごく簡単な首ストレッチを「1〜2時間に一度」挟む だけでも、首にかかる負担はずいぶん変わります。 「ストレッチをがんばる」 というよりも、 「同じ姿勢を長時間続けないためのリセット」 として捉えると、習慣化しやすくなります。
✅体重の急激な増減・喫煙・過度な紫外線をゆるやかにコントロールする
最後は、少し広い意味での 「生活習慣」 の話です。
首のシワやたるみに影響する要因として、医療・美容の世界でよく挙げられるのが次のようなものです。
・加齢によるコラーゲンやエラスチンの減少
・紫外線ダメージの蓄積
・喫煙や過度の飲酒、偏った食生活
・体重の急激な増減
加齢そのものは止められませんが、
・できるだけ急激なダイエットを避ける
・喫煙習慣がある場合は、本数を減らすところからスタートする
・野菜やタンパク質を意識的に増やし、肌の材料になる栄養をきちんと入れる
といった 「ゆるやかなコントロール」 だけでも、肌全体のコンディションは変わっていきます。生活習慣は、首だけでなく、顔や体全体のエイジングに共通する土台です。首のシワをきっかけに、全身の習慣を少しずつ整えていくことが、長い目で見たときのいちばん大きな「予防」になります。
まとめ:全部を一気に変えようとしないことが、いちばんのコツ
首のシワは、 「加齢」「姿勢」「紫外線」「生活習慣」 など、複数の要素が重なって生まれてきます。深く刻まれたシワそのものを、生活習慣だけで完全に消すことは現実的ではありませんが、
・これ以上深くしない
・新しいシワを増やさない
という意味での 「予防」 は、今日からでも始めることができます。
7つ全部を完璧にやろうとすると苦しくなるので、 「今いちばん負担が少なくて続けやすいもの」を一つだけ選ぶ ところからスタートするのがおすすめです。
・スマホを目の高さで見る
・寝る前に首にも日焼け止めと保湿を伸ばす
このどちらか一つを、まずは一週間続けてみるだけでも、首へのダメージのかかり方は変わっていきます。首のシワは、今日・明日で突然変わるものではありませんが、 「今から先の数年」 を静かに変えていくことはできます。小さな一歩を、淡々と積み重ねていくことが、いちばん現実的で確実な首ケアの方法です。
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